N2に受かった生徒が「N1なんて無理」と言った理由

2026年8月24日

N2に受かった生徒が「N1なんて無理」と言った理由

先日、N2に合格したAさんが、こんな言葉を言っていました。

「N1なんて、絶対無理」

N2に合格しているのに、なぜN1をそこまで難しく感じるのでしょうか。もちろんN1はN2より語彙や文法が難しく、読む文章も長くなります。ただ、授業でAさんの様子を見ていると、理由はそれだけではないように感じました。

選択問題ならできる。でも、自分で文を作ると難しい

Aさんは、文法の選択問題では正解できることがあります。4つの答えの中から正しいものを選ぶ形式です。ところが、「この文法を使って、自分で文を作ってみてください」と言うと、急に手が止まります。どう書けばいいのか分からない。書いてみても、使い方が正しくない。文章を読んでいる途中で、「先生、この文はどういう意味ですか」と聞かれることもよくあります。

選択肢から正しい答えを選べることと、日本語の意味を十分に理解して自分で使えることは、同じではありません。

「見たら分かる」と「自分で使える」は違う

選択問題では、すでに答えの候補が用意されています。見たことのある文法を選んだり、前後の形から「これは違いそうだ」と判断したりすることもできます。一方、自分で一から文章を作る場合は、何を言いたいのかを考え、場面に合う語彙や文法を自分で選び、文として組み立てなければなりません。

つまり、答えを見て分かることと、自分で意味を理解して使えることの間には、意外と大きな距離があります。これはN2に合格したかどうかとは別の話です。N2にも読解問題はありますし、長文で筆者の主張を読み取る問題もあります。単語と文法だけで解ける試験というわけではありません。ただ、選択問題で正解できる力があっても、文章そのものの理解がまだ十分に安定していないことはあります。

N1では、その先まで考える必要がある

N1の読解では、一つ一つの文の意味を理解するだけでは終わりません。まず文章に書かれていることを理解し、前の文と次の文がどうつながっているかを考え、さらに文章全体を読んで筆者が結局何を言いたいのかを考える必要があります。そのうえで、複数の選択肢を比べなければなりません。

一つの文章を読んだ段階で「この文はどういう意味だろう」という状態が続いていたら、その先にある筆者の主張まで考えるのは簡単ではありません。Aさんが問題を見たときに感じた「絶対無理」という感覚は、その意味では自然なものだったのだと思います。

N1ができない=勉強していない、ではない

ここで気をつけたいのは、「N2に合格したのだから、N1も少し勉強すればできるはず」と単純に考えないことです。反対に、「N1ができないから自分には日本語の力がない」と考える必要もありません。

大事なのは、今どこで難しくなっているのかを見ることです。語彙なのか、文法なのか、一文の意味を取るところなのか、文章全体を理解するところなのか。同じ「N1読解ができない」でも、理由は人によって違います。理由が分からないまま難しい問題を解き続けると、「できない」という気持ちだけが強くなってしまうこともあります。

「正解できた」だけで終わらせない

選択問題で正解すると、つい「分かった」と思ってしまいます。でも本当に理解できているかを確かめるには、「どうしてこの答えだと思ったか」「この文はどういう意味か」「自分の言葉で説明できるか」と、もう一歩踏み込んでみることも必要です。正解したかどうかだけでは見えなかったことが、そこで初めて見えてくることがあります。授業でも、答えそのものだけでなく、Aさんがなぜその答えを選んだのかを聞くようにしています。

「N1なんて絶対無理」と思ったら

今N1の問題を見て、こんなの絶対できないと思っているなら、いきなり長文をたくさん解くことだけが答えではありません。自分はどこまで理解できていて、どこから分からなくなっているのか。まずそこを一度整理してみてください。「N1ができない」という一言の中にも、理由はいろいろあります。理由が分かれば、次に何を勉強すればいいかも見えやすくなります。一人で考えて分からないときは、先生に相談するのも一つの方法です。

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