N1読解を教えていて感じること
JLPT N1の読解を教えていると、問題が解ける学習者と、なかなか伸びない学習者の間には、知っている単語や文法の数だけでは説明できない違いがあると感じます。
もちろん、語彙や文法の知識は必要です。でも、N1になると、それだけでは十分ではありません。
授業をしていて特に気になるのが、問題に向き合ったときの「考え方」です。今回は、N1読解がなかなか伸びない人に見られやすい3つの特徴についてお話しします。
1.問題を「当てよう」とする
JLPTの読解問題には、基本的に4つの選択肢があります。そのため、
「たぶんこれかな」
「こっちのほうが正しそう」
と、感覚で答えを選んでしまうことがあります。もちろん、本番では最後まで迷う問題もあるでしょう。ただ、普段の勉強まで「4択だからどれかを選べばいい」というやり方になってしまうと、読解力はなかなか伸びていきません。
意識してほしいのは、「どれが正解か」だけで終わらないことです。なぜ自分はその答えを選んだのか。そこまで考える習慣があるかどうかで、同じ問題を解いていても学習効果は大きく変わります。
JLPTは4択ですが、当て物ではありません。
2.「分かりません」で止まる
授業で問題について聞いたとき、「分かりません」という答えが返ってくることがあります。もちろん、本当に分からないこともあるでしょう。問題は、そこで思考まで止まってしまうことです。
何が分からないのでしょうか。単語でしょうか、文の意味でしょうか、選択肢でしょうか。それとも、文章全体は読めたけれど答えを決められないのでしょうか。同じ「分かりません」でも、中身はまったく違います。
自分がどこで困っているのかを少しずつ言葉にできるようになると、次に何を勉強すればいいのかも見えやすくなります。「分からない」は、考えることを終わらせる言葉ではなく、そこから考え始めるための言葉です。
3.できる人にすぐ答えを聞く
クラスで問題を解いていると、分からないときに隣のできる人へ答えを聞く学習者もいます。「答えは3番だよ」と教えてもらえば、その場では問題に答えられます。
でも、「なぜ3番なのか」が分からないままなら、自分の読解力が伸びたわけではありません。
これは、AIを使うときにも同じことが言えます。分からない問題をすぐAIに入力して、正解と解説を読めば、その問題については理解したように感じるかもしれません。ただ、自分で考える時間をほとんど持たずに答えだけを受け取ることを繰り返していると、新しい問題に出会ったときにまた同じところで止まってしまいます。
誰かに教えてもらうことや、AIを使うこと自体が悪いわけではありません。答えをもらうことをゴールにしないことが、ポイントです。
3つに共通していること
今回紹介した3つは、一見すると別々の行動に見えます。
・問題を当てようとする
・「分かりません」で止まる
・すぐに誰かへ答えを聞く
でも、共通しているのは、自分の頭で考える時間が少ないということです。N1読解では、文章を読んで正解を選ぶだけではなく、「私はなぜそう考えたのか」を自分なりに説明できることが重要になってきます。
最初からきれいに説明できなくてもかまいません。「ここを読んだから」「この言葉が気になったから」「この選択肢は少し違うと思ったから」。そんなところから始めれば十分です。
正解することより、考えること
JLPTの勉強をしていると、どうしても正答率が気になります。10問中何問正解したか、模試で何点だったか。もちろん、それも一つの目安にはなります。
でも、勉強している段階では、正解したかどうかだけではなく、どのように考えたかにも目を向けてみてください。間違えた問題でも、自分でしっかり考えた問題には学びがあります。反対に、正解していても偶然当たっただけなら、次も正解できるとは限りません。
N1読解で必要なのは、答えを当てる力ではなく、文章を読んで考える力です。その力は、一問ずつ自分の頭を使うことで、少しずつ育っていきます。
「問題をたくさん解いているのに、なぜか読解が伸びない」——そう感じている方は、一度、自分が問題を解いているときの「考え方」に目を向けてみてください。
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