「N1の文法は、どの問題集で勉強したらいいですか?」
YouTubeでこのようなリクエストをいただきました。問題集はいろいろありますが、どれも同じように見えて、選ぶのに迷う方もいると思います。
今回は、日本語教師の視点から、文法Buddy・TRY!・新完全マスターの3冊を紹介します。大切なのは、人気だけで選ぶのではなく、「自分がどんな練習をしたいのか」に合わせて選ぶことです。
後半では、文法問題集を使うときに知っておいてほしい注意点もお話しします。
1.文法Buddy|自分で文を作る練習が充実
まず紹介したいのが、私も専門学校の授業で使っている「文法Buddy」です。
この本のよいところは、練習量が多いこと。例文や意味、接続を確認するだけでなく、覚えた文法を使って自分で文を作る練習ができます。
特に、私がよいと思っているのが「書いてみよう」の部分です。
文法の説明を読んだときには「分かった」と思っても、いざ自分で文を作ろうとすると、何を書いたらよいか分からないことがあります。意味を知っていることと、使えることは、必ずしも同じではないんですね。
自分で文を作ることで、「この文法はどんな内容に使えるのか」「どんな言葉と組み合わせるのか」を考える機会になります。
説明を読むだけでなく、手を動かしながら文法を身につけたい方におすすめです。
2.TRY!|文法を「どんな場面で使うか」が分かる
次は「TRY!」です。私は普段の授業ではまだ使っていませんが、日本語教師の養成講座で、この教材を使った模擬授業などに触れています。
特徴は、文法を一つひとつ学ぶ前に、これから習う文型が入った文章を読むことです。文法だけを取り出すのではなく、文章の中でどのように使われているのかを確認できます。
読解のレッスンをしていると、学習者からよくこんな質問を受けます。
「この言い方は、日本人もよく使いますか?」
「どんな場面で使うんですか?」
文法の意味を覚えても、使う場面まではイメージできていないことがあるんですね。
TRY!は、そうした場面を文章からつかみ、その後の練習につなげられる教材です。英会話の教材で、最初に会話を読み、その中に出てきた表現を練習する流れに近いと考えると、分かりやすいかもしれません。
「意味は分かるけれど、いつ使えばいいのか分からない」という方におすすめです。
3.新完全マスター|似た意味の文法をまとめて整理できる
3冊目は「新完全マスター」の文法です。
文字を中心とした紙面なので、最初は少しとっつきにくいと感じる方もいるかもしれません。ただ、この本には、文法を意味や働きごとに整理して学べるという長所があります。
例えば、逆接条件や可能・不可能など、関連する文法をまとまった形で確認できます。
N1では、似た意味の表現がたくさん出てきます。一つずつ別々に覚えていると、「前に習ったあの文法と、何が違うんだろう」と混乱することもありますよね。
関連する表現をまとめて学ぶことで、共通点や違いに目を向けやすくなります。すでに習った文法を整理し直したいときにも、使いやすいと感じます。
文法をばらばらに覚えるのではなく、意味や働きごとに整理したい方におすすめです。
文法問題集の文章が読めても、読解対策は別に必要
ここで、一つ注意してほしいことがあります。
文法Buddyには「まとめの練習」に文章を読む問題があり、TRY!にも文法を学ぶための文章が出てきます。しかし、それが読めたからといって、「N1の読解も大丈夫」「読解は勉強しなくてもよい」と判断しないでほしいんです。
これらの文章は、文法の使い方を理解したり、習った文法を定着させたりするために用意されています。
一方、JLPTの読解対策では、文法の意味が分かることに加えて、文章全体の内容を理解し、問いに答える練習が必要です。
文法学習用の文章が読めることと、N1の読解問題が解けることは、同じではありません。
これは、「文法問題集の文章には意味がない」という話ではありません。場面の中で文法を理解することは、とても大切です。ただ、教材にはそれぞれ目的がある、ということです。
文法問題集で知識を身につけながら、読解には読解の練習も取り入れていきましょう。
自分の目的に合う1冊を選びましょう
今回紹介した3冊には、それぞれ違うよさがあります。
- 文法Buddy:練習量を確保し、自分で文を作りたい
- TRY!:文法を使う場面を、文章の中で理解したい
- 新完全マスター:似た意味の文法をまとめて整理したい
3冊すべてをそろえる必要はありません。まずは、今の自分に必要な練習ができる1冊を選んでみてください。
そして、「文法が分かるようになったこと」と「読解問題に答えられること」を分けて考えることも忘れずに。自分に必要な学習を組み合わせながら、N1合格を目指していきましょう。
文法や読解の学習に迷っている方へ
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